ユニバーサルマナーアワード2017

パナソニック株式会社

障害者向け美術鑑賞ガイドの実証実験及び普及への取組み

視覚障害者が美術作品を鑑賞できるよう、センサを用いた音声再生の新しい美術鑑賞のシステムと障害者向けのコンテンツを製作し、美術鑑賞のあり方を広げる取り組みをしている。

背景・課題

バリアフリー上映など、視覚障害者が楽しむための社会環境が少しずつ普及しつつありますが、美術作品の鑑賞に関しては現状では一部の美術館スタッフやボランティアによる支援などに限られ、障害者が気軽に楽しめる環境は整備されていません。そこで、ITを活用することで美術鑑賞を気軽に楽しめる環境を広げることが求められています。具体的な課題として、美術館で一般的に使用されている音声ガイドは、該当作品に対し、表示されている番号を自分で入力する必要があり、視覚障害者には操作が難しいものとなっています。またガイドの内容は、作品が見えている前提で、その見方をサポートするものとして制作されており、視覚障害者にとっては情報が十分でない場合が多く、作品を「鑑賞する」ツールとしては使用できないという課題がありました。

具体的な取り組み内容

(1)機器のプロトタイプを制作

視覚障害者が自分自身で操作できる「美術鑑賞ガイド」を新規開発しました。ビーコンによってガイド可能エリアに利用者が入るとスマホが震えて反応し、画面にタッチすると音声ガイドが聞こえるというシステムです。

(2)視覚障害者向けガイドコンテンツを制作

展覧会の中から主要8作品を選定し、音声情報だけで作品の形状や色を描写し、さらには雰囲気もイメージできるような視覚障害者向け美術鑑賞ガイドコンテンツを制作しました。

コンテンツ制作協力:視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ、株式会社アートアンドパート

(3)実証実験の実施

一般に募集した障害者を含めた30名の方に、美術鑑賞ガイドを使って作品鑑賞(パナソニック汐留ミュージアム「ルオーとマティス展」)をしていただきました。その後、 ヒアリング・インタビューを通じ効果検証を実施し、7割強の方が「満足した」と回答、「美術鑑賞を楽しめた」「想像が膨らんだ」「今後外出するきっかけになる」との回答も7割程度あり、今回の取り組みの有効性が実証できました。

アピールポイント

バリアフリーが浸透してきた現在でも、障害者が楽しむための取り組みはまだまだ普及しておらず、特に視覚障害者向けの美術鑑賞に関しては世界でもほとんど取組みがなされていません。今回の実証実験を通じて、その有効性を確認できたと共に、障害者に限らず多くの方が期待を持っていることも実感できました。日本の美術館では企画展が多く、期間の短い展覧会の中でも本システムが採用されるためには、簡易で低価格であること、利用対象者を増やすこと、さらには美術鑑賞だけに限らず広範囲で活用できるシステムとすることなど、普及に向けた課題も抽出できました。

2020年に向けてさらなる成熟した文化環境を整備するためにも必要な取り組みであると感じており、様々な企業や団体組織と連携しながら社会実装できるよう推進したいと考えております。

法人名:パナソニック株式会社
代表者名:津賀一宏
業種:総合電機メーカー
所在地:〒571-8501
    大阪府門真市大字門真1006番地
WEB:http://www.panasonic.com/jp/home.html